Nicola Guarini photographer

from here to eternity Nicola Guarini

from here to eternity
永遠への旅立ち

Four Seasons Hotel - Tokyo at Chinzan-so
〒112-8667, 東京都文京区, 関口2丁目10-8

2009年9月17日から30日まで



15枚の一連の写真は、2004年の夏にランペドゥーザで撮影されたものです。ニコラ・グアリーニ(Nicola Guarini)は、シチリア島の物語を彼なりの方法で表現をしようと試みました。これらの写真は、よく目にするようなドキュメンタリーで描かれるものとは非常にかけ離れ、表面上は対象的にも見える、作者の姿勢を表現したものです。実際に、作者は本当の意味での旅、別の言葉で言うなら”巡礼”に出かけたのでした。それは自分自身を振り返り、じっくりと考えをめぐらせ、現実の細かい部分にいたるまで他からの余計な影響を受けることなく、じっくりと見直すものでした。この旅は別な一面では、精神を自由に解放し自分の心の中を旅するものでした。それは、彼の主観的“視点”を消し去り、そうすることにより、彼の作品から作者の存在がだんだんと“消え去る”かのようになっていったのでした。

実際、彼の旅では、目に見える全ての“物”に名前をつけ、簡素化できるようにと、作者はカメラをメモ帳のように利用しました。これは、(現在は全てが物質に左右される時代であり、今の時代、内面を重視し地球を越えて表現するのは、非現実的なことだとわかっていても)シャッターを切るためのカット決めの前に、作者は澄んだ精神でいなければいけないというアンセル・アダムス(Ansel Adams)の考えを、彼なりに見直して影響を受けたものでした。

グアリーニは、彼の旅の1日を通して、ランペドゥーザの土地を普通とは異なる幾つかのイメージを撮影していきました。《歩いて進む旅》とブルース・チャトウィン(Bruce Chatwin)が言っていたように、これらの写真は、人生の一歩一歩に置き換えて見ることができます。作者は彼自身が自分を”よそ者”に感じる場所で、心が動かされるものにレンズを止めてみました。それは白黒で仕上げられる非常に研究された構造と偶然的な観察とが融合したもので、非常に輝きのある写真となりました。 旅の当初、作者は “物質”に足を止めていました。鋼鉄の表面をもつ飛行機の機体や、灼熱の暑さの中でそれを味見する幸運に巡りあえた旅行者に元気を与えるシチリアのグラニータ(シチリア風シャーベット)のような、その魅力は天に届かんばかりに、精神を高めるものでした。

作者は、人生の局面を表すような荒涼とした自然の痛みを味わい、そして、より感動的な精神を見いだしながら旅を続けました。灼熱の太陽の下にあり枯れきった自然は、写真の中では、とてもすがすがしく表現されています。なぜなら、撮影された写真(乾燥した壁、熱せられた舗装道路、閉じられたドア)は非常にバランスよいもので、抽象的に表現されているからなのです。 カメラのレンズは、コニッリ島(isola dei Conigli)に続く道で看板を見つけました。岬を下り海に交わる空、岩の断片はすでに歌声を聞くことのできなくなったことを考えると非常に悲しみが溢れてくる、ドメニコ・モドゥーニョ(Domenico Modugno)の家を思い起こさせます。カーラ・ポネンテ(Cala Ponente)の断崖、砂浜に溢れ光に溶け込む海水浴客、海が突然静かになり、傾斜のある道にかかる低い雲を撮り、透明の水面に残る船の通った跡、プンタ・サクラメントの断崖の上、ところどころに生えた乾燥した草の茂みの間で、超現実的出現のような宗教的な像が写されました。その次には精神のよりどころを見つけ、そして全ての矛盾から開放される、広々とした地中海のステージでシャッターを切りました。次に、カメラマンの目は、岩壁と透き通った空にしっかりとした地平線の輪郭を描く光景にとまりました。下には、靴が脱ぎ捨てられ、旅人の視線での”苦難”を表していました。自分を遠くに置きつつ、現実のかけらと、純粋な視線での世界の美しさを紹介したのでした。写真を撮り終えたその瞬間こそ、今まで泣くまいと抑えていた感情が吹き出し、作者が”全ての環境”から開放され自由になれるその時でした。そして同時に、青色の出現に彼の心が開くのでした。

Marco Alfano


Nicola Guarini
ニコラ グアリーニ

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翻訳協力:zenzero